●テーマに選んだ詩の核をストーリーに展開。夏のきらきらしさと切なさ、地域や幼なじみの絆、死者を思いつつも遠ざかっていく生命の必然、が脚本に書いてあるような気がする。
●年齢の近い大勢の役者が、ぱっと見で違いのわからない服を着、わざと体格や性別が逆の役を演じているので、誰が何歳くらいの役をやっているのかがわからなかった。混乱しているところに、ごっこ遊びから回想に入ってまた混乱。身内ならギャップが楽しいのかも。
●おもちゃや衣類(!)が雑然とちらかり、会館のサイズや空間イメージが見えず。なんというか、詩情ある物語っぽいのに美しくない…。後半までわーわーバタバタと進み、効(聞)かせるべきセリフが埋もれているのが残念。
●バンド演奏、謎のきぐるみ、セリフと無関係の遊びなど、演出的にいろんな要素を投入している。物語に対してどのような役割を果たさせるために入れたのだろう。楽しそうで何よりだけど。盆踊りも踊るし、遊戯祭らしいお祭り作品?
●脚本は、この仕立てなら、詩の中にある「目の前で死にゆく者からさえ想いがそれる、残酷で悲しく逞しく美しい生というもの」に挑戦してほしかったかも。死者への愛じゃなくて。…かなり難しいか。
30日午前観劇
※5月2日21時30分追記/本作が遊戯祭17の最優秀賞作品に。おめでとうございます。楽しそう=若者たちにとって楽しい、なのかもしれない。
text by 瞑想子